テクニカル

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テクニカル(Technical)

単語としては「専門の/技術の/工業の/手法の」といった意味を持つ単なる形容詞です。

しかし、一般的な単語が特殊な環境、場所において「独特な、特定の意味」を持つことは、ままあります。

端的に言えば「テクニカル」とは、トラックや四輪駆動のピックアップにさまざまな武器(マシンガン、ロケット砲、etc)を積み込んだ戦闘車両を意味します。その製造の容易さ(なにしろ市販の車両に手持ちの武器を括り付ければできあがり)から、中東、アフリカといった内戦が激しい地域では日常的に使用されました。

これだけであれば、日本から離れた、遠い遠い世界の出来事にすぎません。

しかし。

こんな、画像があります。

テクニカル。荷台の文字に注目。

テクニカル。荷台の文字に注目。

おわかりになるでしょうか?

青いトラックの荷台にペイントされた「○○興業株式会社」の文字。
(※○○は伏せました)

そう、テクニカルには本当に多くの「日本車」が利用されています。

 

ソマリアの地で。

日本で暮らしている限り、この単語をこの意味で耳にすることはまずありません。強いて言えば、映画「ブラックホークダウン」のなかで、その単語をデルタフォース隊員のセリフとして聞くことができます。

先に書いた通り、「テクニカル」とは普通のトラックや4WDピックアップの荷台に機銃、ロケット砲等を装備したものです。もちろん正規軍が使用するものではなく、内戦状態の途上国の軍隊や、民兵が手作りして装備・運用するものです。

皮肉なことに日本車のタフさが買われ、多くのテクニカルがそのボディにトヨタ、ニッサンのエンブレムを輝かせています。

ニッサン車流用のテクニカル。

ニッサン車流用のテクニカル。

テクニカルはソマリアで生まれたといわれています。

NPOが戦闘地帯に向かうときに正規の警護を拒絶され(ソマリアはいわば「最悪の地」です)、やむを得ず身辺警護に「地元の用心棒」を雇いました。その際の費用を「技術支援助成金(technical assistance grants)」からねん出したのが、「テクニカル」の語源と言われています。

 

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ありとあらゆる紛争地帯で。

テクニカルは正規の戦闘車両ではありません。当然装甲もなく、乗員は体むき出しの状態で血で血をぬぐう戦いを繰り広げます。

テクニカルに装甲はない。ただ、血が流れるだけ。乗員はカートでラリってる。

テクニカルに装甲はない。ただ、血が流れるだけ。乗員はカートでラリってる。

 

アフガニスタンで、イラクで。

スーダンで、チャドで、レバノンで、リビアで。

文字通り、ありとあらゆる「発展途上国」の戦場でテクニカルは姿を現しました。強力な兵器として「活躍」しました。特にチャド内戦ではテクニカルは戦車をも撃退する活躍を見せ、それを取材した「Time」誌のジャーナリストはテクニカルのボディに刻まれたロゴからこの戦争を「TOYOTA WAR」として大きく取り上げたほどです。

ウィキペディア -トヨタ戦争-
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E6%88%A6%E4%BA%89

 

先進国としてなすべきこと。

しかし、その問題は日本では全く話題にすらなりませんでした。

確かに日本は武器輸出三原則により、兵器の輸出はしないことになっています。防衛装備移転三原則によりそれが緩和され、より国際標準に近くなりました。

しかし、それ以前にMade in Japanの車両が内戦において大きな戦力となっていることを知るべきです。TOYOTA、NISSANのロゴが戦場を走り回っているという事実を。

これをグロテスクと呼ぶのだろう。美を備えない兵器。

これをグロテスクと呼ぶのだろう。美を備えない兵器。

GPS制御などで特定の地域で機能を停止するような制御、はできないものでしょうか・・・

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6 Responses to “テクニカル”

  1. 何で? より:

    GPSで止めてどうするの?
    その機能の開発費、維持管理費は誰が負担するの?
    購入者が負担するの?
    現実的ではないよね

    • yakumili より:

      何で?さん、コメントありがとうございます。

      GPSで止めてどうするのか、実際にそれが技術的に可能なのか・・・。ここではそれが主題ではありませんので、これらは私の妄想とお考えいただいて結構です。ごく一部の車両において、すでにGPSによるリミッタ制御が実装されていることは恐らくご存知のうえでのコメントとお見受けいたしますから。

      このテキストの主題は「ハインドのロケットランチャーをくくり付けただけのテクニカル」の画像を見て、あなたは何を思うのか、であります。

      私のように兵器の持つ美のかけらも無い、グロテスクな兵器と見るか。さすが日本車だぜい!と喜ぶのか。はたまたそれ以外か。

      私の妄想はぜひ流して頂き、そのあたりを語り合えたらと思います。

      ちなみに、私は技術的・コスト的な問題よりも、もし自動車メーカーがテクニカルの動作を何らかの方法で止めた場合、それは間接的に紛争に介入することに他ならないそちらの方がはるかに高いハードルであると考えます。一方の「兵器」を無力化するという事は、事実上の介入ですから。

      これからもよろしくお願いいたします。

  2. 安心 より:

    ただのミリオタではなくしっかりとした理解のある方だと分かって安心しました。現在の世界の現状等も知りたいのでいいサイトですね

    • yakumili より:

      安心さん、コメント頂きありがとうございます。

      しっかりとした理解を私が持ち合わせているかは皆様にご判断頂くことだと考えており、私はまだ確信を持てておりません。難しいジャンルですし・・・。

      よくあるミリタリー小話とは一味違うサイトを目指しております。更新は極めてスローですが、お付き合い頂ければ幸いです。

      これからもよろしくお願いいたします。

  3. toorisugari より:

    使い古された中古車でも尚改造によって兵器として活躍できるという証明になっていますね

    >GPS制御などで特定の地域で機能を停止するような制御
    これらは出来たとしてもして欲しくないですね
    現在の日本車の中古車としての価値を下げることになるので1個人としても反対です
    また兵器としてのテクニカル市場は既に確立されており
    その供給の停止を日本車のみが行ったとしても無意味でしょう
    仮に先進国が協調したとしても中国などが市場進出してしまうと思います
    たしか中国は最初からテクニカルへの改造を意識しているとしか思えないような自動車を販売していたはずです
    そもそも対人地雷禁止条約(オタワ条約)などと同様に主要先進国の協調すら得られない可能性のほうが高く
    日本だけが商機を失い、手間とコストがかかるだけで意味の無い自粛になると思います

    • yakumili より:

      toorisugariさん、コメントありがとうございます。

      別コメントにも返答させて頂きましたが、このテキストのメッセージは「中東の戦場を走る日本車テクニカルを見て、何を思うか?」であります。さすが日本車タフだ、と思うのか、私のように「なんてグロテスクな兵器だ」と思うのか、それ以外か。

      個人的には、テクニカルを実現できるということが「商機」にどの程度繋がるのか、それをトヨタ・日産のマーケティング戦略上プラスなのかマイナスなのか、いかがなものかとは思いますが・・・。更新遅く恐縮ですが、これからもよろしくお願いいたします。

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