F-35はF-16に勝てない?War on Boringの記事、「Test Pilot Admits the F-35 Can’t Dogfight」を読み解く。

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F-35、近接格闘戦で第4世代戦闘機に敗れる。

もし、第5世代戦闘機として大々的に宣伝され、すでに10を超える国が導入を決定、それ以上の国が導入を検討している「F-35」。

この「夢の戦闘機」が、第4世代戦闘機に敗れたとしたら・・・あなたはどう思いますか?しかも、F-35はクリーン(外部武装を搭載していない)であり、相対するF-16はドロップタンクを2本吊るしたいわば「ハンデ戦」だったとしたら・・・

そんなショッキングなニュースが報じられました。

元ネタはWar is Boring。

すでにいくつかの翻訳記事も出ておりますが、まずはオリジナル記事を見てみましょう。

はて、どれがオリジナルなのか・・・手繰るのはむずかしいのですが、ネット上でこの問題をはじめて大きく取り上げたのは、「War is Boring(戦争は退屈)」という、なんとも皮肉の利いたタイトルのブログサイト。

Twitterの創設者が作ったブログサービス「medium.com」上に展開されているミリタリーブログです。

ライターは複数おり、それぞれ著名な軍事ブロガーとして活躍。件の記事、「Test Pilot Admits the F-35 Can’t Dogfight」を書いたのはDavid Axe氏。

David Axe氏 近影。

David Axe氏 近影。

アメリカ版ウィキペディアに氏の紹介記事が掲載されており、それによると

 Axe is a prolific blogger and has published several books.
(アックスは多くの著作を排出するブロガーであり、いくつかの本を出版している。)

とのことで、かなり著名な方でございます。

さて、それでは、「Test Pilot Admits the F-35 Can’t Dogfight」を見てみましょう。

thumb_medium_com

 記事の内容をざっと抜粋させて頂きます。

タイトルは「Test Pilot Admits the F-35 Can’t Dogfight(テストパイロットはF-35がドッグファイトできないことを認めた)」。

副題は「New stealth fighter is dead meat in an air battle(新ステルス戦闘機は空中戦においては死肉に過ぎない)」。

うーん、煽りますねえ(笑。

内容は、おおむね以下のとおり。

  • 2015年1月14日、カリフォルニアのエドワーズ空軍基地の近くの空域において、F-35A「AF02」はF-16Dブロック40と訓練を行った。
  • 主に高迎角(High-AOA)における運動性と、空中戦機動を意図した操縦系統への入力におけるの応答性をチェックした。
  • F35Aはクリーン状態であり、F-16Dは2機のドロップタンクを吊るしていた。
  • 空力的にF35Aは有利であったはずなのに、F35Aはあっというまにエネルギー不足に陥った。
  • F35Aはいったん形成を逆転しても「nose rate」の不足により(ピッチレート?)、F-16Dをガンサイトに捉えることができなかった。
  • F35Aは高迎角においてフルラダーを当てて「sliding maneuver」を行うことで、ミサイルを撃つに十分な「ヨーレート」を獲得できる。
  • しかしこの「sliding maneuver」は速度を失う。

というように、かなり、突っ込んだ記事になっています。

「役に立たないミリタリー知識」の読者であれば、ある記事を思い出しませんか。

そう、F-35

記事中でファイターマフィアのNo.2、ピエール・スプレイは語ります。

空中戦なんてできやしない。マニューバもできない。

と。その予言は当たってしまったのでしょうか。

しかし、マニアのあなたならば、上記記事を読んでアレ?と思うはずです。そう、思うはずなんです・・・。

 

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そして、Lockheed Martinは反論する。 

意外にも(?)この記事に対していち早く反応したものがいます。

それがLockheed Martin。そう、F-35Aの製造メーカーです。たんなるいちブログに対してLockheed Martinのようなメーカーが公式に反論することが異例なのか、よくあることなのか残念ながら筆者にはわかりません。

Lockheed Martinが製作したF-35の特設サイト、「f35.com」(!)。

そのサイトにこんな記事が掲載されました。

Joint Program Office Response to “War is Boring” Blog (統合戦闘機計画から、ブログ「War is Boring」への回答)」

 thumb_www_f35_com

結構長いテキスト(War is Boringの記事より長い気がする)ので英語が苦手な筆者には荷が重いのですが要約するとこのとおり。

  • F-35とF-16Dによる訓練の報道は、全てを正しく伝えていない。
  • F-35「AF-2」は飛行科学テスト用に設計されたF-35であり、現在生産されているF-35の全ての装備を備えていない。
  • F-35「AF-2」は、ミッションシステム・ソフトウェアを搭載していなかった。
  • F-35「AF-2」は、ステルス・コーティングを塗布されていなかった。
  • F-35「AF-2」は、オフボアサイト用の武装とソフトウエアを搭載していなかった。
  • F-35のテクノロジーは「長距離からその敵と交戦し、撃ち、抹殺する」ことができる。

つまり、テストに使用されたF-35A「AF-2」は試験機であり、ステルス性、及びオフボアサイト攻撃能力が搭載されていなかった。F-35Aはそもそも長距離からの攻撃を得意としており、近接格闘戦の性能はF-35Aのすべての性能を示すものではない。

だから、このテストの結果をもってF-35Aの性能を語るべきではない。

こういうことのようです。

 

Lockheed Martinの話は筋が通ってる。

そもそも「フルラダーによるスライド機動でミサイルを照準できた」という話の時点で、マニアのあなたならば思うはずです。あれ、ヘルメットマウントのオフボアサイト照準システムは使っていなかったのか?と。

そう、F-35Aはノースロップ・グラマン社製の画像配信システムであるAN/AAQ-37 DASが搭載されており、機体の6箇所へ配置されたDASセンサーはヘルメットマウントディスプレイと連動、オフボアサイトによるミサイル誘導が可能となっています。

機首下部に配置された、AN/AAQ-40 EOTS。

機首下部に配置された、AN/AAQ-40 EOTS。画像はウィキペディアよりお借り致しました。

F-35へ搭載されるヘルメットマウントディスプレイ。画像はウィキペディアからお借りしました。

F-35へ搭載されるヘルメットマウントディスプレイ。画像はウィキペディアからお借りしました。

双方が双方を目視圏内に捕らえ、マニューバーを駆使して照準して敵機を撃墜する・・・という戦い方は第5世代戦闘機の真価が問われる戦場ではありません。そして、F-16こそその「目視圏内における近接格闘線」において恐るべき能力を発揮する、「E-M理論」に基づいたファイターマフィア入魂の機体です。

近接格闘戦においてF-16は圧倒的な能力を持ちます。そう、近接格闘戦という限られた戦場では。

そして、戦場を選ぶことができるのはより高い性能を持つ戦闘機です。

現実の戦闘において、F-16がF-16の得意とする近接格闘戦へF-35Aを引きずり込むことが出来るかどうかとえば、その可能性は著しく低いといわざるを得ません。

F-35Aが「スペックどおりに機能すれば」、F-16はF-35Aに接近するどころか、F-35Aの存在に「気づく前に抹殺されている」からです。

 

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米空軍も声明を発表する・・・?

アメリカ空軍公式サイトの記事、「‘Workhorse’ becomes first F-35 to achieve 1,000 flight hours」によるとF-35A「AF-2」について、以下のように書かれています。(箇条書きばかりでゴメンなさい)

  • AF-2は「馬車馬(Workhorse)」というあだ名で呼ばれている。
  • 主に操作応答性とフライトエンペローブのテストを行う。
  • AF-2ははじめて+ 9Gと-3G、そしてロールを行ったF-35Aである。
  • AF-2はあらゆる迎角で飛ぶ。

・・・Lockheed Martinの言い分と一致していますね。

あと、アメリカ空軍も公式に声明を表明した、という報道は目にしましたがその情報ソース(アメリカ空軍のプレスリリースそのもの)を発見できていません。

 

話題のF-35A「AF-2」。画像はアメリカ空軍公式サイトよりお借りしました。

話題のF-35A「AF-2」。画像はアメリカ空軍公式サイトよりお借りしました。

 

結論。

結局は「High-AOA(高迎角)における飛行特性テスト」といったような「限定的なテスト」の結果を、面白おかしく大げさに取り上げただけ、が結論のようです。

F-35

F-35

例えていうなら、超絶的な技巧派のピッチャーに速球を投げさせて、歴戦の剛速球投手より速度が劣っていると大騒ぎするようなものでしょう。

もし、そんなことがあったらその「技巧派ピッチャー」はなんというでしょうか。

「僕の凄いところは、そんなところじゃあない。」

そう、それが結論です。

しかし、彼の真の実力はまだ未知数であることもまた、事実です。

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