素材

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素材。

役に立たないミリタリー知識。今日は「素材」がテーマです。

現在の戦闘機はたいていMach(マッハではないぞ、マックだぞ)2.5程度を速度の限界としています。速度の限界を決めるものはなんでしょう?車やバイクが好きな人ならば「エンジンパワー」というでしょう。もしくは空気抵抗、走行抵抗?

確かに戦闘機の最高速度を決める重要なファクターはまずエンジン出力です。戦闘機の開発はほぼイコールエンジンの開発です。当初単列星型3~7気筒だったシンプルなエンジンは複列星型14気筒へ進化、最後にはH型24気筒のネイピアセイバー、4重列星型28気筒のプラット・アンド・ホイットニー R-4360といった文字通り「正気の沙汰ではない」化け物エンジンを生み出しました。

4重列星型28気筒。これを狂気と呼ばずして。

4重列星型28気筒。これを狂気と呼ばずして。

 そして極限への挑戦として、「ジェットエンジン」へと進化していきます。

次に誘導抵抗と称される、飛行機を空気が引きずる(逆?)抗力。これは機体を可能な限り滑らかに、そしてエリアルールに忠実に形成することでそのCD値をこれまた極限まで小さくする努力がなされています。

しかし、どんなすごいエンジンを積んでどんなに機体形状に工夫を凝らしても、たいていの戦闘機の最高速度はMach2.5を超えることはありません。

 

Mach2.5限界説。

なぜでしょう。

戦術的にそれ以上の速度が求められていない・・・という指摘を無視して(笑)言うならば、機体を作る素材が限界を迎えてしまうのです。

意外に思われるかもしれませんが、超高速で飛行する戦闘機はその機体表面を「空気との摩擦」そして「断熱圧縮」で焼かれます。上空1万メートルといえば実にマイナス50度、その極寒の世界をMach2でかっ飛ぶと機体表面温度は150度以上にも及びます。戦闘機の主要材料である超々ジュラルミンA7075は200度近くになるとその強度を徐々に失います。極限の設計をしている戦闘機の素材が強度を落とせばそれは即空中分解、死を意味します。

※断熱圧縮について、コメント欄よりご指摘頂きました。ありがとうございます。

とあるパイロットの手記では、

Mach2.0に近づくと機体のきしむ音、金属のやける様なにおい、何とも言えない不安感がでてきます・・・

と記述されています。

そんなわけで、それ以上の速度を必要とする機体、たとえばMach3を超えるロッキードのSR71なんかは溶け難いチタンでかつその素材の熱膨張を考慮して作られていますし、ベレンコ中尉のMIG-25はステンレスで作られていたりします。SR71は地上にいるときはチタンが縮んで(?)燃料がぼたぼた漏れっぱなしだったとか?!まあいろいろ苦労はあるわけです。

 

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もはや「銀翼」にあらず。

そして現在。

最新の戦闘機は既に金属ではなく、炭素繊維で作られています。F-2やF-35はその主翼を炭素繊維強化複合材による一体構造で形成されており、強度の確保に貢献しています。作成中の機体を見ると色とりどりでまるで塗り絵のようです。

現代機の素材の色はまるで組み木細工

現代機の素材の色はまるで組み木細工

なぜか話題になったB-787など、民間・軍用を問わず機体の非金属化は大きなトレンドとなっています。

もはや飛行機は「銀色」ではないのですね。
(あれ、オチがない?!)

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4 Responses to “素材”

  1. きのう より:

    熱の壁は摩擦ではなくて断熱圧縮です

    • yakumili より:

      きのうさん コメントありがとうございます。

      不勉強で申し訳ないのですが、断熱圧縮が発生する速度はMach3前後との記述を確認しております。「Mach2でかっ飛ぶと機体表面温度は150度以上・・・」のあたりの現象は、摩擦によるものととある方から伺いましたが、誤りでしょうか?

      • さしみ より:

        音速を超えた時点から断熱圧縮は始まります。しばしば、あの凄まじい速度で地球に再突入するスペースシャトルの表面の温度上昇も摩擦と言われますが、あれも断熱圧縮です。

        • yakumili より:

          さしみ様、コメントありがとうございます。
          本文に追記いたしました。厚くお礼申し上げます。

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