フライバイワイヤ

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フライバイワイヤ。

久しぶりのひょっとしたら役に立つかもしれないミリタリー知識、さあ行ってみよう!

今回のテーマは「フライ・バイ・ワイヤ」。

これも意外と耳にしたことがある言葉、ですよね。耳にしたことがあるわりに、よくわからん。ワイヤで飛ぶ?なんだそりゃ?(ここでいう「ワイヤ」は針金のことではなく、電気的なケーブルを指します)

 

人と機械の狭間への介入がキモ

フライ・バイ・ワイヤを端的に(独断と偏見で)表現するならば、「人間」と「機械」の間に対する電気的な介入、と表現することができます(ああ、このわかりにくい表現で半分の方が×ボタンをクリックした音が聞こえた)。光ファイバーで制御するだけが、ポイントではないのです(これも、省スペース・軽量化・生存性向上のためには大きい効果なのですが、このテキストではあえて触れません)。

車にたとえて見ましょう。

アクセルペダルを踏みます。踏まれたべダルの動きは金属製のケーブルを経由して機械的にスロットルを動かし、空気と燃料をエンジンに送り込みます。基本的に「アクセルを踏んだだけ速度があがり」ます。

これを「バイ・ワイヤ」します。

アクセルを踏むと、その踏み込み量をセンサーで「電気的に取り出し」、「コンピュータが他パラメータを含め最適な踏み込み量を計算し」「電気信号としてその量をモーターに伝達し」、「モータがコンピュータの指示通りにスロットルを開き」ます。

となります。これはどういうことでしょう?

運転手が踏んだアクセルの量がそのままエンジンに伝わらず、コンピュータが介入して決定するという動作です。このメリットは以下です。

①常に計算上最適な操作をコンピュータがアシストする
②危険な操作をキャンセルできる

①について、荒っぽいスロットルワークを、エコロジーな操作に変換することができます。ガバガバアクセルを踏んでも、燃費のよいじわっとアクセルを開ける操作に変換できるのです。ほとんどのコンパクトカーはこの電子スロットルを搭載しています。

②について、スリッピーな路面での急アクセルをキャンセルすることができます。最新のオートバイがこれらをトラクションコントロールとして搭載し始めています。

 

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運動性と安定性の狭間で

さて、この技術は戦闘機の開発において進歩しました。戦闘機は極限の運動性を要求されます。ほんの少し、操縦桿をつついただけでくるくる回るような機体が理想です、でも、回りすぎると操縦が難しくなります。

この矛盾を実現したのがX-29。この機体はフライ・バイ・ワイヤで毎秒40回の演算ものを行っています。どういうこと?あまりに運動性が高く不安定で、1秒に40回のコンピュータによる操縦介入を行わないと「まっすぐすら飛べない」のです。うわさではコンピュータが壊れると自動的にパイロットはエジェクトされるとか・・・パイロットが気絶すると握力の低下を察知してシートから自動的に気付け薬(覚せい剤?)が注射されるとか・・・

 

X-29A

X-29A。意外にも前進翼の研究優先度は高くなかったとか。

 

他には機体が破損して例えば機体が常に右に傾いてしまうようになってしまったとき、コンピュータがそれを補正して勝手にバンクを左に取り続けるとか、バフェット(異常振動)が発生したときにそれを打ち消すように舵を自動的にパタパタ振動させるとか、そんな芸当もできるようです。

 

その元祖はなんと。

さて、こんな便利?なフライ・バイ・ワイヤ、発想の根幹はなんと「ゼロ戦」です。

太平洋戦争当時の戦闘機はもちろんコンピュータなど存在していません、操縦かんから舵までは1mmのたわみもない金属ケーブルで直結されています。縦の舵が伝統的に鋭敏な日本海軍機は、「速度による舵の取り方」が難しいという特徴を持っていました。高速飛行中に、低速時と同じように操縦桿を大きく引くと「ガーっと狂ったように」(当時のパイロット手記より)旋回してパイロットはブラックアウトしてしまいます。戦闘中は速度計など見ている余裕は無く、速度をカンで掴み、それにあわせた操舵を行うことがベテランの必須条件でした。

そこで考えた零戦設計者の堀越二郎技師、操縦桿から舵を繋ぐ金属ケーブルをあえてバネのように伸び縮みする柔らかい物に変えてしまいました。その結果、低速時は今までどおり操縦桿を大きく使え、高速時も同じように大きく操作してもそのバネ部が伸びてその大きな操作を吸収、適切な量(小さな舵)を切ることになり「容易な操縦性」を実現することができました。

この「剛性低下式操縦索」は戦後、敵国であるアメリカからも大きな注目を集めることになります。コンピュータもセンサーもなく、アナログで実現された「操縦への介入」ですが、立派に「フライ・バイ・ワイヤ」の走りと言える技術、です。

 

フィードバックされる思想と技術。

というわけで、映画「風立ちぬ」にあわせたわけではありませんが堀越技師に因む技術がお宅のコンパクトカーにも搭載されているかも?というお話でした。

(詳しい方へ:論理飛躍がありますがあくまでも読み物、ご容赦ください)

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