かかみがはら航空宇宙科学博物館に飛燕を見に行こう

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かかみがはら航空宇宙科学博物館

岐阜県の各務原市、航空自衛隊岐阜基地に隣接する航空宇宙科学博物館です。

1917年に陸軍の各務原飛行場が作られて以来、その地で多くの飛行機が作られ、飛ばされてきました。そんな長い歴史を持つ地に岐阜基地のとなりに大きな建屋と広大な敷地を持つ「日本でも有数の飛びモノ系ミュージアム」。

展示機も浜松エアパークに匹敵、いやそれをはるかに上回る物量を誇ります。

大型機は

  • YS-11A-500R中型旅客機
  • P-2J対潜哨戒機
  • US-1A救難飛行艇
  • 低騒音STOL実験機 飛鳥

などなど。

中型機は

  • F-104J要撃戦闘機
  • T-1ジェット練習機
  • T-2ジェット練習機

他にもブルーインパルスのフライトシミュレーターやH-2ロケットのエンジンなど盛りだくさん、マニアならばあっという間に一日が過ぎてしまうというボリュームなわけです。

では早速行ってみましょう!

車は走るよ東海北陸自動車道

酷暑の日差しの下、東海北陸自動車道をひた走り岐阜各務原インターチェンジを降ります。そこから7kmでかかみがはら航空宇宙科学博物館に到着。

駐車場に車を止めると、おおUS-2のお尻が見えます!盛り上がってきた!!・・・巨大な建屋も目に入ります。巨大な・・・あれ、建屋が建築足場でおおわれている・・・お盆なのに人も少ない・・・

そして建屋をぐるっと取り囲む仮設フェンス。ん?なんだあの看板は。

!!

なんということでしょう・・・今、かがみがはら航空宇宙博物館はリニューアル工事中。

巨大な建屋は立ち入り禁止!ちなみに駐車場も仮設状態、本来存在していた駐車場には頑丈なテントがたくさん構築されていました。恐らくその中に貴重な収蔵物が保管されているのでしょう。

しかし安心されたし。リニューアル中ではあるものの、2017年11月13日まではプレオープンということで小規模ながら展示が行われています。

このちっこい倉庫だけ。ぐぬぬ。なんてこった。

そこに「ソイツ」はいました。

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三式戦闘機二型「飛燕」試作17号機

注:表記はかかみがはら航空宇宙科学博物館の説明に準じます。

そこにいたのは、三式戦闘機二型「飛燕」試作17号機。

ジュラルミンの鈍い無機的な輝きと日本機とは思えないスマートな機体。機械に過ぎない金属の塊ですが、妙に生々しい魂を感じます。

大日本帝国陸軍が1943年に制式採用した戦闘機、飛燕。

飛燕にはいくつかサブタイプが存在しますが、これはエンジンにハ140を採用した後期型の、初期生産型(試作なんだから当たり前だ)となります。

現存する唯一の飛燕、と紹介しているサイトもありますが実はレストア前の状態の飛燕は世界中に何機か存在しています。たとえばロシアとか

ただ「かかみがはら航空宇宙科学博物館」に収容されている機体は、飛燕の開発メーカーである川崎重工の手でレストアされたものであることを特筆すべきかと思われます。

この「飛燕」二型試作機(機体番号6117号機)は完動状態で終戦時にアメリカ軍に接収されて、その後しばらく横田基地で敷地内展示されていたため当時の比較的保管状態は良好でした。

が、その後あちらこちらのイベントに引っ張りまわされ、テキトーな扱いを受けます。おかげで機体は破損し、何度も何度も塗りなおされて大変残念な状態であったとのこと。それを川崎重工が塗装をはく離し完全分解し今回のレストアに至ったという経緯です。

その経緯はこちらのサイトに極めて詳しく記載されています。調査されたご尽力に感謝しつつ、リンクさせて頂きます。

インターネット航空雑誌ヒコーキ雲 より 川崎キ61三式戦Ⅱ型改飛燕(6117)の戦後史

では、見てみましょう。

飛燕 展示全景

「かかみがはら航空宇宙科学博物館」の「プレオープン」である特別展示収蔵庫の入り口で入館料大人300円を支払い、足を踏み入れると一番奥のスペースにひっそりと飛燕が展示されています。

主翼、尾翼、胴体は分割されておりますが比較的大きな塊となっていますから、飛燕の機体の形状や大きさを実感するに不自由はありません。展示物と柵の間も一番近いところで数十cm程度ですから、覗き込むように機体の細部を確認することができます。

胴体を見てみましょう

まずは機首から

液冷V型12気筒のハ140(ハ、は発動機のハ)を搭載する飛燕はスマートな長い機首を持ちます。左右6本突き出た排気管(当然直管、サイレンサーなんてついてません)が低い位置についていることかわかるとおり、通常のV型と異なり倒立、つまり上下逆に搭載されています。左に大きく突き出たインテークはスーパーチャージャー用のインテーク。

正面から見てみましょう。

機首上部に見える2つの楕円形の穴は、20mm機銃ホ5(ホは砲のホ)の発射口。そう、飛燕は炸裂弾であるホ5をプロペラのスキマから打ち出します。その周囲に見える長方形のパーツは機銃整備のためのアクセスドアの固定ラッチ。拡大するとこんな感じ。

恐らくマイナスねじを回してラッチを稼働状態にさせて、それからラッチを引き出すのでしょう。せっかくなので発射口のアップをどうぞ。

この部分はジュラルミンではなくスチールなんじゃないかと思うんですが・・・違うかな。

次に排気口のアップ。

上下に2分割されたパーツを溶接したモナカ状の構造(モリワキ?)であることがわかります。さぞ、すさまじいい爆音だったことでしょう。最前列の排気管にはカバーが装着されています。理由はわかりません。過冷却防止?

胴体のみならず機体の外板を取り付けているリベットはすべて平鋲が使用されています。

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操縦席付近

ここで展示されている「三式戦闘機二型「飛燕」試作17号機」はファストバックの風防(キャノピー)を装備しています。零戦のような水滴型風防ではなく、風防後端が機体につながっているタイプ。

スライドする第2風防と第3風防の間に意外と大きな隙間があることがわかります。ちなみに第3風防の下の横線は溝であり、第2風防はこの溝に沿ってスライドします。第3風防の下にある横に長い長方形のものはパイロットが乗り込むときに手を掛ける取っ手。どうかすると(右か左を押し込むんだと思う、たぶん右)棒が出てきます。出てくるはずです。

第1風防と第2風防。

現時点、残念ながらコクピットの中はがらんどうです。照準器も搭載されていませんでした。第1風防が胴体よりも左右にはみ出ており、第2風防とツライチを保っていることがわかります。第1風防左下の突起は恐らく(恐らくばかりで申し訳ありませんが)コクピットの換気のための導入口。

見えにくいですが第2風防の一番前(画面でいうと左)フレームの中央下部に、開閉用のノブ(の付け根)があります。

尾部

垂直尾翼、水平尾翼ともに取り外されており、取り付け基部が明らかになっています。

スマートに見える(実際スマートですが)胴体も意外と背中は太く、縦に長い構成であることがわかります。飛燕は機体構造が頑丈なことでも知られており、急降下時の速度制限が当時の日本機としては破格の850km/hでした。この「縦に長い」構造もその性能に寄与していた可能性があります。

しゃれているというかしゃらくさいというか(失礼)、展示された飛燕の胴体にアメリカの国籍表示と日本の国籍表示が交互にプロジェクション・マッピングで映されます。なんといいますか、アメリカ国籍表示の飛燕を見てもうれしくないんですが・・・前述のとおり6117号機は横田基地で構内展示されておりその時はアメリカ国籍表示が施されていましたのでそれを示しているのでしょうが。

日の丸が映るときはこんな感じ。

尾翼

尾翼は標準的(?)な日本機の構成です。金属製の固定翼部に羽布張りの可動部の組み合わせ。現代の戦闘機と異なり左右の可動部(エレベーター)は連結されており、左右同じように動きます。

垂直尾翼は可動部(ラダー)が上から下まで貫通しているタイプ。写真撮り忘れましたゴメンナサイ。

ラジエター

飛燕の大きな特徴である、主翼下後方に設置された巨大なラジエター。

この画像は貴重だと思います。

口金が6個あることからわかるとおり、3系統の冷却機能を持っています(入口と出口が3セット)。それぞれ

  • エンジン冷却水冷却部
  • 潤滑油冷却部
  • エンジン冷却水冷却部

だとのこと。コアは7層、に見えます。液冷エンジンにはコレがないと飛べないぜ、ってくらい大事なもので(機体表面に冷却水を流してラジエターを廃した機体もあるにはありますがレアケース)、ここに被弾するとエンジンはオーバーヒート→焼き付きを起こして墜落するというシロモノです。

そしてこの大切なラジエターを覆うカバー。

いやあ、このアングルでコイツを見ることができるとは思っていませんでした。

左右の外板は大きく、胴体にめり込んで配置されている(外から見えないところまで板が続いている)ことがわかります。詳細にみると、後部の開口部は開口面積を調整できるようで、ヒンジが見えます。

さあ、胴体はこんなところでしょうか。

主翼

残念ながら胴体と比較して主翼の外板はあまり程度がよくありません。

表面

過去の補修・再塗装のためか、かなり大きなくぼみとそれを直すために入れたパテが残っています。中央左の外板は周囲の外板と比べて色が異なり、あとから追加された補修パッチのように見えます。

上面

主翼は左右で連結されており、その上に胴体を乗せるようにボルト接合します。これも日本機でよく見られる手法です。

主翼の付け根にウォークウェイの滑り止めが張り付けられていることがわかるでしょうか。くぼみが多い、と申し上げましたが全般としては極めて程度は良好だと思われます。嵐山美術館に展示してあった飛燕の残骸は、文字通り残骸でしたから・・・

下面(主脚収容部)

主翼下面には、主脚の引き込み口があります。

ここだけレストアが進行し(?)サフェーサが吹かれていました。

主脚カバーがU字型のアームで取り付けられています。このアームを引き込まれたタイヤが押すことでカバーが掛る仕組みです(零戦も同じ)。支持棒の「オスナ」がシャレがきいています(機体にも「オスナ」「フムナ」と書かれてるんです)。

主脚カバー

ついでに主脚カバー。飛燕の主脚カバーはいわゆる「萌え」ポイント。

オレオ部の回り止めのでっぱりからカバー後端下部まで一直線につながるこのラインがよい、萌える、とマニアは語るそうで。

翼端灯

最後に翼端。

これは左側の翼端、ですので翼端灯の色は「赤」。上下に水滴状のライトカバーが2つワンセットで装備されています。これは日本機としては珍しいタイプ。通常は1つのランプが端っこについています。

ちなみに飛燕も前期型はそのタイプだそうで。

着陸灯

着陸灯も特徴的で、透明なカバーの中に大きなライトが収まっています。

主翼はこんなところでしょうか。

その他装備品

ペースをあげていろいろ見ていきます。

エンジン

先に紹介したとおり、「三式戦闘機二型「飛燕」試作17号機」にはハ140が搭載されます。が、現時点、胴体のなかはどんがらで横に展示されている状態です。最終的に搭載する予定があるかは、わかりません。

スーパーチャージャー

木製の増漕

主脚

主脚も分解・整備が完了している様子。オレオのメッキもピカピカ。回り止めは新造したのでしょう。美しいしあがり。対してアウターチューブはオリジナルのようです。

以上で飛燕の紹介は終わりです。

この状態(半分解状態)の飛燕を見ることができるのは「かかみがはら航空宇宙科学博物館がプレオープンしている

  • 2017年9月13日

までです!いうなら今が最後のチャンス。是非、マニア諸氏は万難を排して自らの目でご確認ください。

その他展示物

プレオープンということで数は少ないのですがいろいろ展示物はあります。ブルーインパルスのシミュレータとか。

ちなみにコレ、スロットルは養生テープ(笑)で固定されており、スティックとラダーだけ操作できます。数十秒の慣熟飛行のあと、空中に投影されたガイドに沿って飛行するといつの間にか僚機が現れデルタループができちゃうという。飛行後にランク評価されます。

なお、なーんにも説明もガイドもないのですが、赤い三角ガイドのところでスモークを出さないと加点されません。そして、マニア諸氏ならばスモークスイッチはガントリガーだよね、と「常識的知識として」「男子のたしなみとして」知っているわけですがその説明もガイドもありません。

群れをなすお子様がことごとくCランク(最低点)を取るなか、マニア諸氏は大人げなくAランク以上を目指しましょう!

ミュージアムショップ

仮設ながらミュージアムショップも開されています。

本オープンが待ち遠しい

リニューアルオープンは2018年3月24日(土)。待ち遠しいです。

ただ、先にも書きましたが半分解状態の飛燕を見ることができるのは今だけです。プレオープン時にまず1回、本オープンしてからさらに1回(と言わず何度でも)行くのがマニアでしょう!

公式サイトはこちら

かかみがはら航空宇宙科学博物館

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2 Responses to “かかみがはら航空宇宙科学博物館に飛燕を見に行こう”

  1. さのよし より:

    いつも楽しく読んでいます。
    飛燕、いいですね〜
    一度行きたいですがいかんせん関西からは遠い…

    • yakumili より:

      さのよしさん、コメントありがとうございます。

      なにしろ飛燕が見れるのは国内ではここだけ(はるか昔に京都の嵐山美術館に残骸が展示してありましたが・・・バラされて売られてしまったという噂です)ですから、万難を排してリニューアルの際にご覧になることをお勧めいたします!

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