災害派遣

【スポンサード リンク】

自衛隊による災害派遣。

痛ましい、恐らく日本の山岳事故における最悪の災害が発生してしまいました。

長野、岐阜両県境の御嶽山。標高3,063m。古くから信仰の山として多くの信仰深い方が登られた山であり、また3,000mクラスでありながら比較的アプローチしやすい(とはいえ、ガレ場のつづら折れが延々と続く)ことからも多くの一般登山者が訪れます。

2014年9月27日11時52分に突如噴火、南側斜面を火砕流が流れ下り山頂一帯は50cmを超える火山灰に覆われました。同日の14時31分、王滝村・木曽町からの要請により陸上自衛隊第13普通科連隊へ御嶽山周辺に災害派遣要請がなされ、陸上自衛隊高田駐屯地(新潟県上越市)の第2普通科連隊、そして長野県の松本駐屯地の第13普通科連隊等が現地に出動しました。

御嶽山麓に展開した89式装甲戦闘車

御嶽山麓に展開した89式装甲戦闘車

  • 御嶽山麓に展開した89式装甲戦闘車。佐賀新聞オンラインよりお借りしました。

ツイッター等で「なぜ自衛隊が出動するの?」「なんで戦争でもないのに装甲車が?」などという疑問を目にしました。筆者がそれに回答する資格があるかわかりませんが、わかる限りで回答を書かせて頂きます。

 

なんで自衛隊が災害派遣に出動するの?

理由その1:任務のひとつだから

自衛隊の任務は以下の3つです。

gmaninmu0image

  • 防衛省サイトよりお借りしました。

 

  • 国の防衛
  • 災害派遣等
  • 国際協力

そして自衛隊法第八十三条において、以下が定められています。

 都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、
 部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。

 防衛大臣又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。

 ただし、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。

すなわち、自衛隊の任務として災害派遣がそもそも組み込まれており、それに対し知事等は派遣を依頼できる、というわけです。

 

【スポンサードリンク】

理由その2:高い自己完結性により災害派遣に適しているから

自衛隊に限らず、軍隊は極めて高い自己完結性を持っています。「自己完結」とは、日常を送るために必要とされるほぼすべてを自らの装備と人員で補う能力のことです。

軍が最も威力を発揮すべき現場は言うまでもなく戦場です。それは海であり、砂漠であり、山地であり、森林であり、そして空です。そこには(当然ですが)電気もありませんし水道もありません。宿舎や食堂もありません。

彼らは戦ってりゃいいだけではなく、当然休息もするし食べもする、高いレベルで戦力を維持するためにそういった「不毛の地」でも己のコンディションを保つ必要があります。この「コンディション」には車両・航空機の整備や補給、医療行為ももちろん含まれます。

陸上自衛隊には15種、航空自衛隊には30種、海上自衛隊には50種の職種・職域があります。これらには建設、輸送、通信、医療、防疫、給食、給水、発電などあらゆる分野が含まれます。

道のないところに道を作り、宿舎のないところに天幕を張り、食堂のないところに食料を供給し、故障した車両・機材を自ら修理し、けが人を治療し、大量の物資を輸送しつつ「大規模な任務を達成できる」組織は、好むと好まざるにかかわらず、日本においては自衛隊しかありません。

消防も警察ももちろん高い能力を持っていますが、自ら幕営地を作る能力はありませんし、故障した車両を修理することもできません。ライフラインが絶たれた状況で活動を「維持する」ことは、自衛隊にしかできないのです。

 

【スポンサードリンク】

なんで装甲車が出動するの?

理由:火山災害に対して適した装備を持っているから

  • ウィキペディアよりお借りしました。

 

たくさんの人を乗せることができます

先の画像にあった89式装甲戦闘車は、歩兵戦闘車(IFV)に分類されます。この「歩兵」がポイントで、一般的な戦闘装甲車と比較して、多くの乗員を乗せることができます。具体的には3名(車長、操縦手、砲手)のほかに完全武装の歩兵7名を搭乗させることができます。

有毒ガスに対する防御を持っています。

同じく89式装甲戦闘車は、NBC防護力を有しているといわれています。NBCは「Nuclear」(核)・「Biological」(生物)・「Chemical」(化学)の頭文字を取ったもので、強力なエアフィルター、車内と外界との遮断、車内への加圧等を駆使して有毒な気体・液体等の侵入を防ぎます。当然火山性ガスに対しても有効です。

走破性がきわめて高いです。

当然、御嶽山頂まで行くことはできませんが、その無限軌道と軽い車体(89はアルミ製です)において、通常の車両よりもより現場近くへ進出し、待機することができます。恐らく50cmの火山灰が積もる状況でもなんら問題なく走行できるでしょう。

防御力が比較的高いです。

小銃弾を防ぎうる装甲は天井に至るまで(比較的薄いですが)張り巡らされ、ある程度の火山弾・岩石片を防御します。

 

なんで迷彩服で出動するの?

理由:それしかないからです。

例えば、災害派遣用にオレンジ等の色の制服を用意するとします。しかし、それらは自衛隊の3つの任務のうち最も大切な国防には使用できません。国防も予算があり、限られた予算を有効に使うためには複数種類の制服を用意するのは非効率です。

そんなコストがあるんなら、被災者の方にもっといいもの食べさせてあげたり、出動された隊員にたくさん手当支給してあげてください。

 

なぜ「人殺しの軍隊」に救助をやらせるの?相応しくない。

理由:軍隊は救助も得意です。

軍隊を「人殺し」と称するのがふさわしいかはともかく、軍は救助も得意です。かなりの器材と人員を救助のために振り分けており、重要な任務として位置付けています。

例えば自衛隊であれば、

航空救難団(ASDF Air Rescue Wing)

航空救難団

航空救難団

  • ウィキペディアよりお借りしました。

という、レスキュー専門の部隊があります。消防は陸上専門、海上保安庁は海上および沿岸部専門なのに対し、この航空救難団はすべてのエリアを対象としています。

軍事用語としてSearch and Rescue(SAR)という言葉があります。これは墜落したパイロットの救出など危機的状況にある人物を捜索して救い出すことであり、その任務の性質上、探して、拾い上げて、応急処置して、送り届けることを専門としています。

先に述べた軍隊の自己完結性と合わせ高い救助能力を発揮します。

 

救助専門の組織を作ればいいじゃない。武器を持っていない自衛隊みたいな。

理由:コストの無駄です。効率が悪いです。

銃を持っている、いないの違いがあるだけの組織を2つ持ち、それ以外は同じような装備、同じような訓練、同じような鍛錬を行うのであればそれはあまりにコストの無駄です。

国家レベルの自然災害が発生すれば、文字通り総力戦になります。使える機材、使える人材はすべて投入することになります。せっかく

  • 自衛隊
  • 救助隊

と分離しても、結局は両組織が出動することになります。そうなれば連携・指揮命令の点でラグが発生し、効率を落とします。

だったら普段から合同訓練すれば?

だったら1つの組織でやりましょう。

救助隊の分離は、思想的な思惑以外にまったくメリットはありません。

 

じゃあ、救助は救助専門の組織にやらせて自衛隊は戦争だけやればいいじゃない。

理由:だから、救助は戦争の一部なんですって。

その「非武装救助隊」に、戦闘中のコンバットレスキューもやらせます?

オレンジのジャンプスーツに赤白のヘリで。

 

自衛隊は所詮、軍じゃないから命がけの救助ができないんだ。

理由:任務の必要上、一定の消耗が必須であったとしてもその作戦が必要であれば出撃命令は出されるでしょうし、その命令は遂行されるでしょう。

レスキューは「2次災害をものともせず」に行うミッションじゃあない、ってことだけです。
これは世界各国の軍隊でも同じことです。恐らく。

以下順次追加・編集中・・・思いつくままに追記中・・・筆者をご存知で疑問があればお声掛けを・・・

【スポンサードリンク】

コメントを残す

CAPTCHA


サブコンテンツ

アクセス

  • このページのトータル訪問数:0
  • 今日の訪問数:27
  • トータル訪問数:1654
  • オンラインユーザー数:0

このページの先頭へ