レールガン

【スポンサード リンク】

レールガン。

知ってる必要の無いミリタリー知識、時事ネタにチャレンジ!レールガンです。

どうせあっちこっちのサイトで詳しい記事が上がるでしょうから、ちょっと(思い切り?)寄り道しながら浅く広く解説してみましょう・・・。

お約束。国産レールガン(量産型計画中)。

お約束。国産レールガン(量産型計画中)。

レールガンってなにさ。

レールガン。

「ガン」ですから、銃砲類の一種に他なりません。

弾丸となりうる高質量の物体を何らかの方法で加速し、その運動エネルギー(もしくは弾丸そのもの、弾丸内部に仕込んだ化学物質による化学エネルギー)を持ってターゲットを粉砕する仕組みです。古代ギリシャの傭兵が城壁破壊のために巨大な投石器を使用して以来、この仕組みは常に進化を続けてきました。

 

フランスで制作された投石器(カタパルト)のレプリカ。兵器だが、ロマンが。

フランスで制作された投石器(カタパルト)のレプリカ。兵器だが、ロマンが。

  • ウィキペディアよりお借りしました。フランスで制作された投石器(カタパルト)のレプリカ。ワクワクしますね。

 

レールガンは、「究極の威力を持つガン」を作ることができる可能性の一つとして存在します。その構造はざっくりと言えば、

  1. 電気伝導体製のレールを2本平行に並べて
  2. その間に電流を流すことができる弾体を挟み込んで
  3. 電流をドカンと流し
  4. 電磁誘導により弾丸を加速して飛ばす!

というシロモノです。

電流をドカン!

電流をドカン!

  • ウィキペディアよりお借りしました。Naval Surface Warfare Center Dahlgren Divisionでの試射

 

【スポンサードリンク】

究極のガンとは。

兵器の進化は原則、いたちごっこです。文字通り「矛盾」です。世界最強の盾を打ち破るために莫大な資金と膨大な時間を費やし世界最強の矛を作り、また逆もしかりです。

この矛、すなわちガンは

  • できるだけ重くて硬い物体を
  • できるだけ正確に
  • できるだけ大量に
  • できるだけ速い速度で遠くに

飛ばし、そしてターゲットにぶつけることでその威力を発揮します。投石器に始まったガンの進化を、ちょっとだけ覗いてみましょう。

 

できるだけ重くて硬い物体を

当初、岩石だった弾丸は鋳鉄の塊に進化し、そして鋼鉄、タングステン、劣化ウランへと進化しました。

装弾筒付翼安定徹甲弾

装弾筒付翼安定徹甲弾

 

【スポンサードリンク】

できるだけ正確に

当初、目測と射手の経験と勘に頼った照準は、光学式測距義とアナログ式射撃管制装置により飛躍的な進化を遂げました。現代、すべての機器はデジタル化され、レーダーの進化と共に今ではICBMの再突入をも追尾するまでになっています。

 

できるだけ大量に

1発の岩石をわずか数百メートル飛ばすために何時間も掛けていた投石器は火薬式の銃器の進化と共に大量の発射速度を得ることができました。最新の艦艇用近接防御火器システム (CIWS)、通称「ゴールキーパー」は実に毎分4,200発の発射速度を実現しています。文字通り雨あられ。しかし、このネーミングセンス、たまりません。

名前がエグイ。ゴールキーパー。

名前がエグイ。ゴールキーパー。

  • ウィキペディアよりお借りしました。「イラストリアス」のゴールキーパー

 

そして、「できるだけ速い速度で、遠くに」

やりすぎ。列車砲ドーラ。

やりすぎ。列車砲ドーラ。

  • 「より遠くへ」を際限なく求めてそれを誰も止めないと、こうなっちゃう例

 

現代兵器において主流である「火薬による弾丸の発射」で実現できる発射速度はざっと以下の通りです。

  • 拳銃弾:200m/sec
  • 散弾銃:300m/sec
  • NATO弾:900m/sec
  • 戦艦主砲(アイオワ):800m/sec
  • 戦車主砲(10式):1,500m/sec以上

この銃砲の種類における初速の違いにも特徴があり、これだけでひと記事掛けるくらいなのですがここでは脱線が過ぎるのでさておき、この辺りが火薬(化学エネルギー)を使用した場合の限界と言えます。日本のダイキン工業が試作した戦車砲は2,000m/secを超えたという情報もありましたが・・・。

火薬で弾丸を打ち出すプロセスは

  1. 火薬を砲身内で燃焼させ
  2. そのエネルギーを砲身内部で受け止め、弾丸を加速する

です。基本的に弾丸は砲身を飛び出すまで加速を続けます。

では、大量の火薬を長い砲身で燃焼させればどんどん弾丸は速くなるのか?となりますが残念ながら

  • 火薬の反応速度の限界
  • 燃焼速度の限界

により、あるところで頭打ちとなります。興味がある方(いるんかね)はムカデ砲などのキーワードを調べてみてください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E8%96%AC%E5%AE%A4%E7%A0%B2

いわゆるこの「方式による限界」を一気にぶち破るものが、はい、前置き長いよ、やっと出てきました「レールガン」なのです。

ゼネラルアトミック謹製、レールガン。

ゼネラルアトミック謹製、レールガン。

 

なぜレールガンなのさ。

火薬による化学エネルギーではなく、電磁誘導(習いましたね!覚えていますか?)による電気エネルギーで伝導体を飛ばせるんじゃない?というアイディアは古くから存在しています。WW2における日本でも研究されていたくらいで、しかしそれはすべて実現しませんでした。

費用対効果における「効果」が極めて重要な位置づけを持つ戦時中と言えど、それは実現しませんでした。これは当時の技術では従来技術による銃砲のほうが性能が高かったこと、技術的困難を克服できなかったことにあります(そして従来技術は前述のとおり物理限界の範囲で飛躍的進化を遂げています)。

ただし理論上は「飛躍的な」初速を実現できる可能性を秘めていたわけです。

 

レールガンのメリット。

  • 初速・射程を調整できる
    • 薬きょうにあらかじめ装薬が詰まっている火薬式の大砲と異なり、弾体をどれだけの速度で打ち出すかは掛ける電力次第で実にフレキシブルです。
    • これが何のメリットになる?MRSI(Multiple Rounds Simultaneous Impact:多数砲弾同時着弾)が容易に実現できます。例えば1門の大砲から
      • 高迎角・高速
      • 中迎角・中速
      • 低迎角・低速

の弾丸を連続射撃すると、3発の砲弾を「ターゲットに同時着弾させる」ことができます。対地制圧において大きな威力が期待できます。

レールガンではありませんが、参考動画

  • とにかく、射程が長い。
    • そして初速が桁違いに速いということは、射程も桁違いです。先に示したアメリカの戦艦アイオワの手法の射程は「38.7km」ですが、艦載レールガンの計画射程は実に「300~500km以上」と、これも桁違いです。
  • とにかく、初速が速い。
    • その速度、実に5,000~7,000m/sec。推進方式としての物理限界が「理論上ありません」。レールを長くすれば長くするだけ、弾丸を加速することができます。
    • 文字通り「桁違い」の速度です。この速度まで到達できれば弾丸の中に火薬なんて仕込む必要はありません、弾体の持つ運動エネルギーだけでターゲットは蒸発してしまいます。 

しかし・・・世の中うまい話ばかりではありません。

 

レールガンのデメリット。

  • その特性上、とにかく大規模な電気が必要となります。
    • 「高射砲一門につき発電所2か所必要」と言われたそうです。
  • その特性上、設備が大型化します。
    • 電源施設だけではなく、発射装置含めてかなり大型の機器になります。
  • その特性上、異常に発熱します。
    • 弾体とレールが接触している必要があります。加速が桁違いのため摩擦により発生する熱も膨大です。またレール、弾体に流れる電流も(それらが完全超伝導でもない限り)ジュール熱を発生します。
    • 大量の熱は、それが冷却されるまで次弾発射ができない(できるだけ大量にに反する))ことを示します。
  • その特性上、レールが消耗します。
    • レールはプラズマ化により少なからず蒸発してしまいます。定期的に交換しないとその性能が維持できません。
    • 創作ガンダムで「・・・主装備は○○レールガンで、その特性上バレルは交換式になっている」なんて記述を見たことがあります。マニアだなあ。

 

スターウォーズ計画とレールガン。

あまりに大きく解決困難なデメリットにより開発は一時下火になったレールガンですが、ある計画により再注目されます。

それが戦略防衛構想。Strategic Defense Initiative(SDI)、いわゆる「スターウォーズ計画」です。

敵国が発射する大陸弾道弾(ICBM)をありとあらゆる手段をもって迎撃するこの計画、キモは超高速で飛行する大陸弾道弾をいかに発見し、迎撃するかにありました。ICBMは最大で7,000m/sec以上の高速で飛行しますから、初速が速く射程の長いレールガンに白羽の矢が立ったのは当然と言えます。

しかし、ソ連崩壊に伴う緊張緩和と軍縮により、存在意義そのものを失ったとして計画は中止されました。

 

なぜ今、レールガン?

さて、一度は仕舞いこまれたレールガン、なぜ今アメリカ海軍は開発を行っているのでしょう。

  • U.S. Navy公式動画

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1404/08/news069.html

この記事によれば、ロイター通信は

  • 発射コストは1発当たり2万5000ドルを見込み
  • 既存のミサイルシステムに比べ大幅に安価なのも特徴
  • 対空防御や弾道ミサイル、巡航ミサイルからの防衛に役立つだろう

とまとめています。本当にそうでしょうか。

ここに興味深い記事があります。

http://www.popsci.com/scitech/article/2004-06/electromagnetic-railgun

2004年に書かれた非常に古い記事ですが、こんなことが書かれています。

The electromagnetic railgun’s projectiles will cover 290 miles in six minutes.

レールガンは6分間(の攻撃時間)で464kmのエリアをカバーします。

これは「対地攻撃力の大幅な増強」の可能性を示しています。

レールガン射程距離。

レールガン射程距離。

 

これが実現するのであれば、大規模な空母打撃群を派遣せずとも、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦を数隻、敵国付近に配置するだけで紛争に王手を掛けられる・・・可能性があります。大掛かりで高価な巡航ミサイルを使用せずとも、「ガン」で同等の効果を得ることができるのです。

ズムウォルト級ミサイル駆逐艦

ズムウォルト級ミサイル駆逐艦

  • ウィキペディアよりお借りしました。ズムウォルト級ミサイル駆逐艦

ステルス戦闘機、無人偵察・攻撃機。これにレールガン装備の駆逐艦。アメリカは神の手をまたひとつ、手に入れようとしているのかもしれません。

 

関連商品(?)

国産レールガン。かあいい。

【スポンサードリンク】

2 Responses to “レールガン”

  1. sdf より:

    無理だろな。
    電圧が高くなればなるほど人が近寄れないし、その電力を賄う大掛かりな設備が必要になる、それを考えれば火薬の方がコスト安でしょ。
    原爆の時と同じくアメリカのアホをさらす結果になるだろな。
    F-22も開発費、維持費共に莫大なコストの割りに使い道がない、F-35が欠陥品ように表だって言わないがF-22も欠陥品だろうなきっと。
    アメリカって金使うだけのアホ以外の何者でもない。

  2. yakumili より:

    sdfさん

    アメリカにとって「金を使うことは悪」とは断定できない、のです。

    あの「おカネじゃぶじゃぶセンチュリーシリーズ」ですら、存在意義はあるのですから(あれがなければアメリカ航空産業は壊滅です)。まあアメリカにしかできないパワープレイですよねー。中国ならできるのかも??

    これからもよろしくお願いいたします。

コメントを残す

CAPTCHA


サブコンテンツ

アクセス

  • このページのトータル訪問数:0
  • 今日の訪問数:26
  • トータル訪問数:1750
  • オンラインユーザー数:0

このページの先頭へ